「されど罪人は竜と踊る 16: 永劫を夢見るままに」【レビュ-】

されど罪人は竜と踊る 16: 永劫を夢見るままに (ガガガ文庫)されど罪人は竜と踊る 16: 永劫を夢見るままに (ガガガ文庫)
著/浅井ラボ イラスト/ざいん
 
 ざいん絵もいいね。ハオル編終幕。

海の迷宮での死闘。最後に立つのは誰か?
 悲運のアラヤ王女が知る<宙界の瞳>の秘密を求め、デナーリオからハオル王家の護衛依頼を受けることとなったガユスたち。一団を乗せた船は、裏切り者を抱えたまま海をゆく。外敵による襲撃で限界となり、修理のために南の島で停泊。海遊びだ水着だ、と束の間の休暇を楽しむ。やがて船は、座礁した豪華客船が迷宮となった“船島”に到着。ここでハオル王家と龍皇国による、国土奪還のための会談が開始されることになる……。
 革命政府の将軍派は、ングウェイ少佐と黒矢部隊に続き、ルフグル大佐と黒槍部隊が参戦。大師派の傭兵となったガングドラムは、命をかけた奥の手<アバナムの手>を投入。反逆の翼将であるアザルリは、物理反射と防御不可能という無敵の次元咒式を引っさげて<宙界の瞳>を狙ってくる。
 裏切りと謀略と<宙界の瞳>の謎が吹き荒れる迷宮で、最後に立つのは誰か。


感想
 前回に引き続き、なし崩し的にハオル王家側となった四派合同事務所は革命政府(オツベルス派、ビスラム派)の追手を退け、アザルリの襲撃を回避し、なんとか落ち延びることに成功する。シャギリエ率いる帆船・潜水艦<白梟号>にてモルディーンが会談場所に指定したリエン諸島の無名島(通称白島)へと潜行・進行する。度重なる襲撃により、裏切り者が少なくとも二人いることが判明し、身内にの警戒さぜるを得ない状況となる。アザルリにより破壊された船を修理・補給するために、一行は入江にて束の間の休息を得る。

 修理中は攻性咒式士の出る幕が無いので、若手は泳いだり砂浜で遊んだりするのだが、ガユスらもなんだかんだで参加したりする。人間関係の円滑化には交流が大事らしい。連戦続きだったので、急激なラブコメ展開にこの後、誰か死ぬなと嫌な予感がする。ピリカヤとリコリオの二人組は相変わらず、怪しさ満点だが。戦闘以外での面々の様子を窺い知ることができるので、悪くななかった。

 会談場所となる目的地は旧超巨大豪華客船オルジ・アーンテス号の第一艦橋(当初の目的地は第七聖堂)なのだが、

全長 1761.3m
全幅 250.9m
喫水線から甲板までの高さ 149.44m
排水量 4300000t
船客定員 65300名
乗務員 14160名

 以上の諸元のアホみたいな船なので、文字通り巨船迷宮となっている。46年前の新島噴火に巻き込まれ、座礁。そのまま人の手が入らない状況が続き内部は魔境と化している。

 当初の目的地である第七聖堂にヨーカーンが現れ、会談場所を告げる。襲撃してくるハオル革命政府の黒槍部隊から親衛隊が文字通り死を賭して王女を守護し、デナーリオが奮戦し、シャギリエが後続を断ち、テセオンがガンドグラムを足止めする。この流れは正直、大好物です。ガリガリと命を削られていく味方のためにも負けられない。ここはそれぞれの戦闘シーンがちゃんと書かれているので熟読をオススメします。疲れるけど。

 後続との間があいたところにアザルリが登場。アザルリ=字瑠璃(モルディーン命名)=ギルレイン(カンザールにて15万人を虐殺)=イェフダル(聖十二使徒、反逆者)であることが判明します。ガユスらは策を弄し、アザルリの排除を狙いますが、ことごとく回避させられます。そこに、翼将であるイェスパーとベリベルトが現れ、二人がかりでアザルリに挑むのですが、下位翼将と中位翼将の差を見せつけられ敗退。ガユスはモルディーンの護衛に随伴するであろう上位翼将がアザルリを掃討してくれることを目論見、会談場所に急ぐことを選択します。

 章のところどころに一人の裏切り者の独白がありますが、中盤あたりまで名前はでてきません。ここらへんが少しわかりづらく、裏切り者は二人いるため混乱します。パット出てきて、裏切り者同士(と本人が思い込み)で殺し、デナーリオに斬られるというちょっと後味が悪い展開になります。ハオル側の裏切り者に気を取られすぎて、四派合同事務所にいる裏切り者には誰も気付いていませんでしたし。

 途中で追い付いてきたアザルリを再度、迎え撃ちますが、ピリカヤの精神操作咒式も虚しく失敗に終わります。なんとか会談場所に到達すると、先触れとして翼将四位聖者クロプフェル、翼将三位軍神バロメロオが現れます。アザルリは自爆覚悟で五次元咒式により両者を倒そうとしますが、そこに翼将一位武神オキツグが登場。五次元咒式を刀で斬るとかいう離れ業を披露します。3人に勝てるわけないだろ!!とアザルリは退散。

 そして、会談が始まる訳ですが、ここは核心部分なので読んで確かめて欲しいです。15,16の二巻はデナーリオとアラヤの愛の物語といっても過言ではないですね。上手く纏まったと想います。死んだはずのピリカヤが生き返ったり、腑に落ちない面も残るもののやはりされ竜は面白いと感じました。

 四派合同事務所にいる裏切り者はミルメオンと評議会の二重スパイであり、人格を自身で操作することで完璧に諜報活動を行っているようです。この人物が誰なのか今後、重要になりそうです。地味に最後の方にクエロが登場します。そして、ユラヴィカが翼将に参入する模様。

 上位翼将の突出した強さがよく分かる巻でした。これでほとんどの翼将が本編に登場したので世界の敵とやらが今後は出張ってくるのでしょう。ガユスは重霊子殻獄瞋焔覇(パー・イー・モーン)以外の咒式をそろそろ習得して欲しいし、ギギナの許嫁に早く登場して欲しい。やはりラスボスは猫のエルヴィンかホートンだろうな。

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浅井 ラボ

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