「されど罪人は竜と踊る 15: 瑠璃色の放物線」【レビュ-】

されど罪人は竜と踊る 15: 瑠璃色の放物線 (ガガガ文庫 あ 2-16)されど罪人は竜と踊る 15: 瑠璃色の放物線 (ガガガ文庫 あ 2-16)
著/浅井ラボ イラスト/ざいん
 
 第二部開始。

策謀と裏切りが渦巻く第二部大長編開始!
 ガユスとギギナは、使徒事件の解決によってエリダナでも高名な攻性咒式士となっていた。四派合同事務所にも新入所員が押しよせ、新体制となる。新入所員も元騎士、ゴラエフ一家の生き残り、ヤニャ族の勇士、年齢詐称の整備士、皇都のミルメオン事務所から移籍してきた女攻性咒式士と、どれもくせ者ぞろい。
 上昇気流に乗るガユスたちの前に現れたのは、革命によって倒れたハオル王家の生き残り、盲目のアラヤ王女だった。デナーリオ将軍によって支えられる王女は、護衛の取引材料として<宙界の瞳>の情報を提案する。ハオル革命政府の二大巨頭は、アラヤ王女へと刺客を送る。旧王家と革命政府、双方についたエリダナ七大手同士が対立し、ガユスとギギナも巻きこまれていく。そして北方の封印監獄が開かれ、十二翼将の一翼、アザルリが動きだす。
エリダナの街に、国家の命運を懸けた策謀と裏切り、極大咒式と剣が交差していく。
ついに第二部の本編、大長編が開始する!


感想
 すぎるにすぎる。使徒編より面白くなる予感。タイトルの通り瑠璃色が今回のキーワードです。

 巻頭の処刑シーンは過去(?)のもので、イェフダルなる人物が抱えていた光の輪が宙界の瞳(?)となるのか。アブソリエル帝国は現在は消滅し、名前としては後アブソリエル公国が存在するのみ。帝国が龍皇国に吸収されたのかな。され竜世界の地図は見る限り、ほぼ形はヨーロッパなので、覚えやすいですが、ところどころ円形に抉れていて、過去の戦乱で巨大な咒式による破壊があったのかしれません。イタリア半島に該当するところは海になっている。

 開幕いきなりの四百歳級の竜(強硬派、黒竜派、ファルフラオス)がエリダナ襲来。目的は宙界の瞳の奪還と穏健派の白銀龍派への抗議みたいです。宙界の瞳の咒力波長を追って、エリダナに来るわけですが、歩く災厄となります。物理的にも巨大で、それだけで破壊力も凄いのに、常時展開されている無力化咒式で低位の咒式を量子散乱させます。ギギナとガユスの二人だけでこれを倒すのですが、ふたりの連携がいいですね。前衛+後衛でバランスとれていますし、はやり強くなっている気がします。

 竜のつぶやきで宙界の瞳が複数個(アラヤ王女も所持しているので少なくとも3つ)存在することが分かりますが、「何故、お前がそれをっ!」が楽しみだったので、有り難みがなくなってしまいました。残念。モルディーンがなんでガユスに与えたのか、謎のままですし。正体はいつ分かるのだろうか。第二部開始しましたが、プロット的にここはどの辺なんでしょうか。

 前回の流れで四派合同咒式事務所となって、新人を迎え入れますが、その新人たちもまた濃いメンツが集まりました。過去に犯罪歴がなく、大陸共通語が喋れ、九階梯以上の咒式士であり、かつ異常者でないを条件にしてこの曲者しか集まらないとは流石エリダナ。先が思いやられる。

<商社騎士>ローロリス
<粗暴者>ダルガッツ
<猫勇士>ニャルン
<整備士>リコリオ
<痴女>ピリカヤ

 今回の主人公はアラヤ王女と近衛団長デナーリオの二人です。ハオル王国にて政変が起こり、2人は家臣とともに流浪の旅に、王政復古を目指して各国と交渉していきます。章が始まる毎に少しずつ過去のハオル王国の話が挿入されていく書き方がされており、現在進行しているエリダナでの動きが補完される仕様になっていて、読みやすかったです。

 今回のエログロ要員であるアラヤ王女は革命政府の逆徒による簒奪で、民兵に囚えられ拷問を受けています。圧政から解放された民兵が支配者層を虐殺、略奪するよくある話しですが、その民兵に外国人戦闘員が紛れ込んでいるという胸糞悪い話となっています。革命政府も一枚岩ではなく、ビスラム大師とオツベルス将軍が政権を争うという泥沼状態に。各々の思惑でアラヤ王女奪還部隊がエリダナに投入されていきます。

 デナーリオは政変が成らなければ近衛の下っ端のままで一生を終えた男です。アラヤ王女に恋をし、王国再興を目指します。流浪の1年の間に追手を退け、各国と交渉にあたったため、実質的にハオル王家の総指揮官となっています。

 龍皇国に支援を求めたいハオル王家はエリダナにて潜伏、ガユスに宙界の瞳の秘密を教えることを引き換えに四派合同咒式事務所に護衛を依頼します。アラヤ王女はモルディーンとの会談をしようとしていたが、それを革命政府に嗅ぎつけられ、将軍派の特殊部隊(黒矢)、大師派の攻性咒式士(雇われたエリダナ七大手の一角、ガングドラム)の襲撃を受けます。まだ契約していない四派合同咒式事務所ですが、脱出のために王家と共闘。最終的には王家派につきます。王家派にはエリダナ七大手、シャギリエ船長がついています。

 入り乱れた戦場の中に突如として怪人が出現、十二翼将六位逆さの魔人ことアザルリですが、どうやらモルディーンの意思とは無関係に勝手に動いている模様。宙界の瞳を奪取しようとしてきます。当たり前のように魔杖剣を介さずに咒式を発動し、ガユスの核融合咒式<重霊子殻獄瞋焔覇(パー・イー・モーン)>を瑠璃色の壺(超定理系第七階位<瑠璃変転喰陰乃壺(バアル・モート)>)で反射させるという技を披露。超体術の持ち主で容易に近づけないのに加え、人間を文字通り裏返し(読めば分かる)にする謎の咒式を使用してきます。

 やはり大賢者ヨーカーンは謎の人物ですね。数千年は生きている気がします。アザルリの前でも終始、余裕の表情。アザルリは過去に15万人ほど殺しているらしく、翼将一位のオキツグが囚え、ヨーカーンが監獄に閉じ込めていたのですが、何者かの手引きにより脱獄しています。ヨーカーン的にはモルディーンに危害を与えるものは排除するみたいですが、モルディーンの民は守備範囲外なようで、見過ごします。

 翼将八位のウフクスは人間嫌いが高じて、細菌咒式によって12万人を殺しています。お目付け役の翼将七位のシザリオスは正義馬鹿で大学博士ですが、知力が咒力に吸い取られたのか阿呆にしか見えないという。十二翼将は上位になるほど性格が破綻している人間が多いです。比較的まともなのは聖者クロプフェル、忍者キュラソーといったところでしょう。クロプフェルは登場回数が少ないですがね。

 エリダナに十数人の十三階梯の到達者ですが、中位から上位の翼将には全く相手になりませんね。もはや階梯とか意味無いですね。咒式士最高諮問法院仕事しろ。そして、今回のジヴーニャは聖女()ではなくガユスの理解者(?)として傍に居てくれる存在になったようで、安心しました。謎の指揮能力とか発揮すると萎える。

 イラストが宮城からざいんに変更されていますが、悪くはないですね。アラヤ王女の拷問シーンはなんか普通過ぎて微妙だった、狂気が足りない感じ。こうやれば喜ぶんだろって感じのファッショングロであんま面白くない。やはりアナピヤ編が至高か。第二部開始して、これから世界がどうなるのか、ハオル王国の行く末を期待しつつ次巻を待ちます。

されど罪人は竜と踊る 15: 瑠璃色の放物線 (ガガガ文庫 あ 2-16) されど罪人は竜と踊る 15: 瑠璃色の放物線 (ガガガ文庫 あ 2-16)
浅井 ラボ

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